そのキスで、覚えさせて
遥希の家はすごい。
でも、彼の家も凄かった。
まさしく豪邸、さすがと言わんばかりの。
その豪邸で……
吹き抜けのリビングのふかふかのソファーに、あたしは座っていた。
彼は派手な女性が好きなのだと思っていた。
だけど……
「蒼の妻です」
そう言ってあたしにお茶を出してくれたのは、どこにでもいそうな落ち着いた女性だった。
そして、お茶に金箔でも入っているのかと思いきや、
「唯ちゃん!
このお茶、どこから来たやつ?
美味しくない?」
驚いている彼に、
「ペットボトルのお茶、温めただけ」
頰を染めて言う妻。
まさかの事態だ。
そして彼はなぜか
「すごいねぇ!
ペットボトルのお茶って、こんなに美味しいんだぁ」
なんて感動していた。
そんな蒼さんの豪邸に、あたしはいた。