そのキスで、覚えさせて







嵐のように蒼さんが去った後、彼そっくりの双子と奥さん、そしてあたしが残されていた。

驚きすぎて何も言えないあたしに、



「すみません。主人が騒がしくて」



笑顔で頭を下げる奥さん。

そんな彼女に、いえと言うことしか出来ない。

まだ目の前の光景が信じられず、



「あの……いつもあんなですか?」



思わず聞くと、彼女は優しそうな笑顔で頷く。




「昔からあんな人なんです。

誤解されがちですが、あんな人です」




そして、彼女は心配そうにあたしに言う。




「さっき主人から聞きましたが、美咲さん、家に帰りたくないって。

あたしで良かったら、お話聞きます」



< 70 / 377 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop