そのキスで、覚えさせて
嵐のように蒼さんが去った後、彼そっくりの双子と奥さん、そしてあたしが残されていた。
驚きすぎて何も言えないあたしに、
「すみません。主人が騒がしくて」
笑顔で頭を下げる奥さん。
そんな彼女に、いえと言うことしか出来ない。
まだ目の前の光景が信じられず、
「あの……いつもあんなですか?」
思わず聞くと、彼女は優しそうな笑顔で頷く。
「昔からあんな人なんです。
誤解されがちですが、あんな人です」
そして、彼女は心配そうにあたしに言う。
「さっき主人から聞きましたが、美咲さん、家に帰りたくないって。
あたしで良かったら、お話聞きます」