そのキスで、覚えさせて
久しぶりに見た、遥希の顔。
少しやつれていて、微かにくまが出来ていた。
あたしが思っているよりも、遥希は疲れているらしい。
あたしの話がさらに遥希に負担をかけてしまうかもしれない。
そう思って思いとどまったが、
「……だろうな」
遥希は低く言う。
「家にも帰りたくねぇ、会社にも行きたくねぇっつったら、何かあるだろうよ」
あたしの悶々とした気持ちは、やっぱり遥希にバレバレだったんだ。
「無理だったら、無理って言ってね」
あたしは静かに、遥希に気持ちを伝えた。
遥希はずっと黙って聞いてくれた。