sugar days〜弁護士のカレは愛情過多〜
*
綾辻さんの腕の中で、くたりと横たわるベッドの上。
彼はがっちり私に腕を回したままで眠りに落ちてしまったため、抜け出すことができない。
「……ま、いっか」
ふと視線を動かした先の窓に広がる景色は、ここへ来たばかりの頃よりずっと暗くなっていた。
オフィスビルの明かりは消えていき、道路を走る車の量も減った。そして、今夜は月明かりもない。
たしか綾辻さんが新月って言ってたっけ……なんだか、からっぽの心を抱えた今の私と似てる。
でも、いつかは丸々輝ける月と違って、この心が満たされる日が来るとは思えない。
『今日がゼロとして……これから徐々に千那の心に入り込みたいと思ってるんだけど、いい?』
綾辻さんはさっきそんなことを言っていたけど、本気なのかな。
いやいや、セックスの最中のノリで出ただけかもしれないし、深く考えるだけ無駄だよね。