ぼくのセカイ征服
こんな僕のくだらない思慮などには思いが及ばない(及ばれると困るのだが)少女は、絞り出すように言葉を紡ぎ続けようとしている。
「うぅ…えぅ、っと…」
こんな調子では、いつまで経っても話が進まない事は必至。
仕方無い。方法を切り替えよう。
…と、いうわけで。
「…僕は時任って言うんだ。」
とりあえず自己紹介をしてみた。更に、それに続けて、限りなく優しい口調で、こう言ってみた。
「喋るのが苦手なら、無理に喋らなくてもいいから…」
「とうっ!ありが助けてございますっ!いただきっ!」
「…ッ!?」
うわっ!びっくりした。急に大声を出すなんて、この子は人と接するのがよほど苦手なのか、はたまた、相当僕が苦手なのか。まぁ、多分前者なのだろうけど(そう信じたい)。
しかし、しどろもどろにも程がある。意味がわからない。意図もわからない。もはや人語を解するとも思えない。
さすがに、そんな事はないのだろうけど。
…さて、これから、僕が選択できるコミュニケーションの方法は、次の3つの中のどれかだ。
1、よくわからない会話を続ける。
2、先ずは名前を聞く。その後、順序立てて家の場所などの情報を聞き出していく。
3、全て投げ出す。
ああ、正直、全て投げ出してぇ。しかも、一番優秀に見える2の選択肢、犯罪紛いじゃないか。
…よし、1だな!1でいこう!
「君、先ずは落ち着いて。はい、深呼吸深呼吸。」
「うぃ。」
フランス語の『ウィ』(『はい』という意味)っぽい、よくわからない曖昧な返事をして、少女は、すー、はー、と、大きな音を立てて深呼吸をした。
「落ち着いた…?」
「…はい、一応は。」
「じゃあ、何か喋ってみてよ。」
「はい。『猟兵』の始まりは、17世紀初頭にスウェーデンで創設された、『騎馬猟兵中隊』とされています。この部隊は、銃の扱いに長けた猟場監視人などの特殊な人員を集めて編制されており、それは、後にヨーロッパ各国で創設された猟兵部隊でも同じでした。猟兵は通常の戦列歩兵とは異なる……(以下略)」
…うんぬんかんぬん。名前も知らない少女から、大して興味もない猟兵の話を、15分近くも聞かされてしまった。
なぁんだ、充分過ぎるほど喋れるじゃないか。これなら何とかなりそうだな。
「うぅ…えぅ、っと…」
こんな調子では、いつまで経っても話が進まない事は必至。
仕方無い。方法を切り替えよう。
…と、いうわけで。
「…僕は時任って言うんだ。」
とりあえず自己紹介をしてみた。更に、それに続けて、限りなく優しい口調で、こう言ってみた。
「喋るのが苦手なら、無理に喋らなくてもいいから…」
「とうっ!ありが助けてございますっ!いただきっ!」
「…ッ!?」
うわっ!びっくりした。急に大声を出すなんて、この子は人と接するのがよほど苦手なのか、はたまた、相当僕が苦手なのか。まぁ、多分前者なのだろうけど(そう信じたい)。
しかし、しどろもどろにも程がある。意味がわからない。意図もわからない。もはや人語を解するとも思えない。
さすがに、そんな事はないのだろうけど。
…さて、これから、僕が選択できるコミュニケーションの方法は、次の3つの中のどれかだ。
1、よくわからない会話を続ける。
2、先ずは名前を聞く。その後、順序立てて家の場所などの情報を聞き出していく。
3、全て投げ出す。
ああ、正直、全て投げ出してぇ。しかも、一番優秀に見える2の選択肢、犯罪紛いじゃないか。
…よし、1だな!1でいこう!
「君、先ずは落ち着いて。はい、深呼吸深呼吸。」
「うぃ。」
フランス語の『ウィ』(『はい』という意味)っぽい、よくわからない曖昧な返事をして、少女は、すー、はー、と、大きな音を立てて深呼吸をした。
「落ち着いた…?」
「…はい、一応は。」
「じゃあ、何か喋ってみてよ。」
「はい。『猟兵』の始まりは、17世紀初頭にスウェーデンで創設された、『騎馬猟兵中隊』とされています。この部隊は、銃の扱いに長けた猟場監視人などの特殊な人員を集めて編制されており、それは、後にヨーロッパ各国で創設された猟兵部隊でも同じでした。猟兵は通常の戦列歩兵とは異なる……(以下略)」
…うんぬんかんぬん。名前も知らない少女から、大して興味もない猟兵の話を、15分近くも聞かされてしまった。
なぁんだ、充分過ぎるほど喋れるじゃないか。これなら何とかなりそうだな。