ぼくのセカイ征服
ああ、僕はなんてバカなヤツなんだろう。僕の部活の話よりも、まずは、コトハの体の事について何か言葉をかけるべきだったのに。
…なのに、僕というヤツは、自分の事だけで頭が一杯になり、大病を患っていた旧知の友人の体調を気にもかけていない。
本当に、僕は最低なヤツだ。
いまさら会話をやり直すわけにもいかないし、かといって、コトハの事を心配しないわけにもいかない。
なので、遅ればせながら。

「それよりも、コトハ。体はもう大丈夫なのか?」
「えっ…?う、うん、このとおり、元気だけど?」

…本当に完治したのか?元気と言った時のテンションが、元気なテンションではなかったぞ?

「あっれー?どうしたのかな、トオルくん?急に深刻な顔しちゃって〜。私は大丈夫だってば!ね?ホラホラ、このとーり!」

満面の笑みと共に、コトハは、大袈裟にぶんぶんと腕を振ってみせた。空元気に見えないでもないが、まぁ、とりあえずは大丈夫そうだな。
でも、心配するに越したことはないだろう。

「無理はするなよ?」
「だーかーらぁー、だーいじょ〜ぶだぁーって。」

一体何なんだこの喋り方は?聞き取りづらいことこの上ない。というか、だんだんキャラが変わって来てないか?

「あっれー?どうしたのかな、トオルくん?急に深刻な顔しちゃって〜。私は…」
「大丈夫、だろ?その流れはさっきやったぞ!?」
「…急に何言ってるの?トオルくん、おっかしいんだー。」
「…………」

まさかツッコミが空回りするとは。スランプかなぁ?それとも、歳のせいとか?

「それより、トオルくん。部活の話だけど…」
「えらく話を戻したな…。」
「足りないんだよね?部員。」
「ああ。あと2人必要なんだけど…」
「私、入ってあげる!」
「本当か!?」
「うん!」
「本当に本当か!?」
「本当に本当だよ!」
「本当に本当に本当か!?」
「本当に本当に本当だよ!」
「本当に本当に本当に本当か!?」
「…ゴメン、ちょっとそこまでは…」

やば。やりすぎた。この辺りでやめておこう。

「もちろん、入ってくれるなら、大歓迎。でも、すぐに廃部になるかもしれないぞ?」
「べっつに、そんな事気にしないよ。」

こうして、アホなやりとりの末、僕はまた一人、部員を確保した。
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