ぼくのセカイ征服
僕達の馬鹿馬鹿しいやり取りが終わると、コトハの叱責に対し、「はいはい、わかりましたよ。」といった感じで黙っていたショウが、待ってましたと言わんばかりに口を開いた。

「そうだ、トオル…一つ、言っておきたい事がある。」
「な、何だよ?改まって…」
「もし、部活が廃部にならかったら…」
「ならなかったら…?」
「生徒会の連中には気をつけろ…」
「生徒会…?」

生徒会、か。そんなモノは、僕にとって全く縁の無い存在なのだが…ショウは何が言いたいのだろう?
ショウの言葉で思い出したが、この高校の生徒会は、かなり特殊な形態を採用しているんだった。
この学校では、生徒会役員選挙などは一切行われない。
僕が知っているのは、生徒会の役職は、一年に一度、各役職を持っている者が一般生徒の中から、生徒会役員に適任だと思われる者に証明書を直接引き渡す事によって引き継ぎが行われる、という事…そして、上級職の生徒会役員は、学校長並の発言力や圧力…要は、権力を有している、という事だけだ。
集会などもないため、生徒会のメンバーでさえも、生徒会役員が何人いるのかわからず、誰が役員なのかもわからない。
厳密には、『生徒会』という『組織』は存在していないわけで、僕からすれば謎の多い、エリート連中の集まり、といったところだ。
まぁ、だからどうした、といった感じの話なんだけど。
余談ではあるが、特に強い力を持つ生徒会役員は十二人いて、『生徒会十二神将』と呼ばれているとかいないとか。
さらに、『真の生徒会』と呼ばれる生徒会の上級役員の五人がいて、彼らは月一で会議をしている、と噂されている。あくまで、噂は噂にしか過ぎないのだろうけど。

「生徒会に潰される部活も多いらしいぜ…。メンバーがわからないって事を考えれば、風紀委員会よりもタチが悪いかもな。」
「あの風紀委員会よりも、か…?」
「ああ…。わかってるとは思うが、風紀委員会の動きにも注意しろよ。」
「…わかってる。アイツらは、風紀さえ乱さなければ手出ししてこないから…」
「恐れる必要はない…ってか?い〜や、注意するに越した事はないぜ?」
「それもわかってるよ…」
< 33 / 73 >

この作品をシェア

pagetop