ぼくのセカイ征服
僕の思考を悟ったのか、コトハは何かに気付いた様にはっとして、俯いた。
「…ゴメン…私、無神経だったね…」
「いや、いいんだ。あの事はもう忘れた。」
「…トオルくんは…本当に嘘が下手だよね…」
「…かもな。」
嘘が下手…というのは、昔誰かに言われた覚えがある。誰だったかな?まぁ、今は関係ないから、特に触れないでおこう。
…それにしても、あの事は忘れた、か。我ながら、見え透いた嘘だ。僕があの事を忘れるはずがない。
…いや、忘れられるはずが、ない。あの日の記憶は、決して色褪せない。あの日と同じ思いも、もう二度とする事は無い。
──僕は、忘れない。
…そして、僕は一生怨み続けるだろう。僕の平穏を奪った者達の事を。
「…別に、トオルくんの生き方を否定するわけじゃないけど…復讐のために生きるなんて、哀し過ぎると思う。だから…」
「言ってるだろ!?僕はあの日の全てを忘れたんだ!その事については何も言わないでくれ!部外者に何か言われる筋合いはない!余計なお世話なんだよ!」
不意に、言葉が思考を超えて口から滑り出る。
コトハは、心配してくれているだけなんだ。僕の事を心から考えてくれているんだ。なのに、僕は…
「ごめん…なさい……はは…私、最低だ…。そうだよね…私には関係ないよね……」
「ご、ごめん、コトハ…かなり、言い過ぎた…。悪いのは僕だ!だから…」
そんな顔をしないでくれ。僕を見捨てないでくれ…独りにしないでくれ…コトハの世界から、僕を消さないでくれ…
僕は願いながら咄嗟に謝ったが、もはや、この場の空気と流れを修復するのは不可能だった。
コトハは、急に立ち上がると、教室のドアに近付いていった。
そして…
ドアをゆっくり開け、僕に背を向けたままでこう言った。
「本当に、無理だけは…しないでね。トオルくんがいなくなっちゃったら、私っ…!」
「コトハ…」
「…このままトオルくんと一緒にいたら、私はまたトオルくんの事を傷付けちゃうかもしれない…だから、今日はもう帰るよ…。ばいばい、トオルくん…」
「…ゴメン…私、無神経だったね…」
「いや、いいんだ。あの事はもう忘れた。」
「…トオルくんは…本当に嘘が下手だよね…」
「…かもな。」
嘘が下手…というのは、昔誰かに言われた覚えがある。誰だったかな?まぁ、今は関係ないから、特に触れないでおこう。
…それにしても、あの事は忘れた、か。我ながら、見え透いた嘘だ。僕があの事を忘れるはずがない。
…いや、忘れられるはずが、ない。あの日の記憶は、決して色褪せない。あの日と同じ思いも、もう二度とする事は無い。
──僕は、忘れない。
…そして、僕は一生怨み続けるだろう。僕の平穏を奪った者達の事を。
「…別に、トオルくんの生き方を否定するわけじゃないけど…復讐のために生きるなんて、哀し過ぎると思う。だから…」
「言ってるだろ!?僕はあの日の全てを忘れたんだ!その事については何も言わないでくれ!部外者に何か言われる筋合いはない!余計なお世話なんだよ!」
不意に、言葉が思考を超えて口から滑り出る。
コトハは、心配してくれているだけなんだ。僕の事を心から考えてくれているんだ。なのに、僕は…
「ごめん…なさい……はは…私、最低だ…。そうだよね…私には関係ないよね……」
「ご、ごめん、コトハ…かなり、言い過ぎた…。悪いのは僕だ!だから…」
そんな顔をしないでくれ。僕を見捨てないでくれ…独りにしないでくれ…コトハの世界から、僕を消さないでくれ…
僕は願いながら咄嗟に謝ったが、もはや、この場の空気と流れを修復するのは不可能だった。
コトハは、急に立ち上がると、教室のドアに近付いていった。
そして…
ドアをゆっくり開け、僕に背を向けたままでこう言った。
「本当に、無理だけは…しないでね。トオルくんがいなくなっちゃったら、私っ…!」
「コトハ…」
「…このままトオルくんと一緒にいたら、私はまたトオルくんの事を傷付けちゃうかもしれない…だから、今日はもう帰るよ…。ばいばい、トオルくん…」