ぼくのセカイ征服
「…ちょっといいかしら、カノン?その言い方だと、いかにも私が『ふにゃふにゃ』しているかのように聞こえるのだけど…これは、単に私の勘違い?」
妙に優しい声と、それに不釣り合いな雰囲気を放つ『会計の一人』が、『書記の一人』の横暴に歯止めを掛けたのは。
「え?いや、そういう意味で言ったんだけど…」
「……そう。それはとても…とてもとても心外だわ…。私が『ふにゃふにゃ』…端から筋の通っていないこんにゃくみたいなものだ、と……」
「い、いや、そんな意味で言ったんじゃ……」
「自分で言うのも何だけれど、私は品性のカケラも持ち合わせていない『けだもの』と大差のない貴女よりは幾分かマシよ。だから、もう少しおしとやかにしましょう?ねぇ、『花音さん』…?」
「う…、うぅ……わ、わかったよ…。もう少し、女らしくする。だから、そんなに怒んないでおくれよぉ…」
「…わかればいいのよ。これからはこのような事がないようにね、カ・ノ・ン。」
「き、気をつけるよ…」
二人の各々の反応とやり取りに唖然とする(アミが怒った事も、カノンが逆上せずに素直に言う事を聞いた事も、全くの想定外であった。)『会長』と『副会長の一人』を尻目に、アミという女は未だに机に突っ伏したままの『もう一人の副会長』を一瞥すると、静かに溜息を零した。
「それで『雑費』についてだが……ん?」
静寂の中、再び口を開いた『会長』に、また過ちを繰り返すのか、という皆の非難の視線が瞬間的に集中した。
「…う…くっ、し、仕方無い。ライ、この件については改めて個人的に時間を割き、それなりの場所を設けて聞く。それまでに、しっかりと頭の中を整理しておけ。」
さすがの『会長』も、皆の冷ややかな眼差しにはたじろぎ、別の方向に打開策を見出だした。
「わかりましたよォ。しっかりと…言い訳を考えておくとぉ、します。」
「…言い訳、だと?」
「い、いやいやァ、こちらの話ですよぉ、こちらの。」
「――よし。次は、新成立部活動についてだ。今回、成立した部活は?」
「3つ……だ。」
今度の『会長』の質問には、カノンという女ではない方の『書記』がゆっくりと答える。