呪われ姫と強運の髭騎士
「はい。城に残っていた者達がよくやっていてくれていたお陰で、私が修道院に入る前と変わらない城の様子で安心しております」
「それは良かった。君は若いながら城主という重い役割を背負ってしまったから、気を揉んでいたのだ」
「きっと、王が後見人として私を支えて下さっていたからです。こうして元気でいられるのは」
 
 パトリスが深い笑みをソニアに見せた。
 
 そうしてから視線をクリスに向ける。

「クリス、どうかね? 王宮以外の生活は」
「はい。なかなか快適に過ごしております」
 
 ハッハ、とパトリスが愉快そうに笑う。

「これはこれは。王宮よりも楽しげに聞こえたぞ? やはり麗しくも若い姫の側にいるのが良いと見える」
 
 ポッと頬を染めたソニアに対してクリスは

「ソニア様はお若いのに礼儀正しく性格は快活です。それに王の言う通りとても魅力的で麗しい。
私も若返った気分でおります」

と、落ち着いた様子でさらりと答えて、ますますソニアの顔が赤くなる。

「そうか。仲睦まじくて安心したぞ。今夜はゆるりと楽しむと良い」
「はい。ありがとうございます」
 
 再び公式のお辞儀をして、ソニアはクリスの腕に手を当てるとその場を去った。
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