呪われ姫と強運の髭騎士
 言った!
 
 言ったわ!

 
 言えた安堵感と同時、言い様のない胸の痛みにギュッと拳を握るソニアに対して、クリスの返答は即刻に返ってきた。

「――いけません。他の方ならともかく、今のセヴラン様はいけません」
「……えっ……? そ、れは……?」
 
 即、反対されたのもソニアにとって驚いた事だが、それよりも驚いたのはクリスの態度だった。
 
 冷淡な表情に見あった冷めた態度。
 
 初めて自分に向けられた厳しい眼差しに、ソニアはたじろいだ。

「久し振りにお会いしたセヴラン様が、幼い頃に共に過ごしたままの彼だと思って、理想のままにみてはいけません。貴女が泣くことになりますよ」

 
 ――泣くことに
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