呪われ姫と強運の髭騎士
◇◇◇◇
 
 ――とはいうものの、馬車が止まり到着の知らせを告げると、一気に緊張が高まった。
 
 クリスの介添えの中ソニアは、馬車から降りながら自分の生家であるクレア城を見上げる。
 
 夜半だということも相成って、見上げた先の城はどこか不気味な装いをしている。
 
 怪奇現象によって修繕されない壁が、更にもう何年も無人の住み処のようにしていた。
 
 ソニアは踏み台で止まっていたが、口を強く引き伸ばすと地に降りた。
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