呪われ姫と強運の髭騎士
 ダラン、とパメラの腕が下がる。一緒に頭ももたげていた。
 
 ざんばらになった彼女の髪が顔を覆い、どんな表情をしているのかこちらからは見えない。
 
 まるで立ったまま事切れたように見えて、ソニアはパメラを連れていったのかと、嫌な予感にかられながら恐る恐る近付いていった。

「ソニア様、下がって!」
 
 パメラの元に歩みよって行くソニアを引き止めたクリスが、パメラから視線をそらしたその瞬間――
ビュルン―― !
 
 投射機から、投げ出されたかと思うほどの瓦礫が直撃した。
 
 ――クリスの頭に。

「クリス様!」
 
 けたたましい男の笑い声が祈祷所に響く。
 
 してやった! という歓喜の笑いがソニアの耳に呼応していて腹立たしかったが、それどころではない。
< 228 / 283 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop