呪われ姫と強運の髭騎士
 これ以上の災い?
 
 まさかマチュー達に何かするつもり?
 
 ソニアの怯えた顔に、バフォメットがニヤリと口角を上げた。
 
 悪魔らしい禍々しい笑みは、こちらの思惑に取り込んだと喜んでいるように見える。

 ――だが
「これはこれは! 私達にこれから、数多くの災いをもたらすと? それはこの世に生かしてくれる、ということか! 死なせては、先程の宣言は無効になってしまうからな!」

 と笑い声を出しながらクリスに嬉しそうに言われ、バフォメットはうち震え始めた。
 
 まるで、自分自身が放った言葉に打撃を受けたように。

「クリス様……」
 
 ソニアは、後ろで共に剣を携えてくれるクリスに微笑む。

 <クレア家の娘! 貴様はどうだ! 苦しくはないのか? 悲しくはないのか? 家族は既に先立たれ、一人だ! 私の手引きさえあれば、家族の魂と会わせてやることが可能なのだぞ。その身体を私に差し出すのだ! 家族に会いたいだろう?>
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