呪われ姫と強運の髭騎士
 修道院の扉まで出迎えてくれたのは、シスターと、

「ソニア!」

 明るい声で名を呼ぶパメラだ。

「パメラ!」
 
 ソニアも負けないくらい明るい声で、親友の名を呼ぶ。
 
 お互いに引き寄せられるように抱き合った。

「身体の方は? 平気?」
「もう、すっかりよ!  これから張り切って、ソニアのお世話をするつもり」
 
 ファーンズと、彼を死してもなお操っていた悪魔バフォメットを追い払って、二ヶ月が過ぎようとしていた。
 
 パメラは乗り移られたせいか、体力が著しく落ち、悪魔に憑かれたこともあって修道院に搬送。そこで療養をしていたのだ。

「……パメラ、本気なの? 私に仕えるって……。お金の返済なら貴女の叔父と話し合って、きちんとした返済計画をたててあるから平気よ?」
 
 パメラの叔父の事業が芳しくなく、パメラの両親からの遺産にまで手をつけていた。
 
 それでも立ち行かなくなり、更に借金を重ねるために評判の良くない金利業者の妻にと、パメラを差し出そうとしたのだ。
 
 ソニアは自分が金を担保・利息無しで金を貸し、今までの借金を返す変わり、パメラの婚約を解消にしてもらい、事業をこちらが引き受けた。
 
 信頼ある者に、叔父を監視の元、経営学を再教育させながら代行をやらせている。
 
 監視役が王からの派遣者だというのが効いているのか、経営学に励みながら事業の代行に精を出していると報告を受けている。
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