呪われ姫と強運の髭騎士
考え込んでしまったソニアの、硬く握られた拳にパメラはそっと自分の手を重ねた。
「ソニア、私ね貴女が羨ましい。だって、こんなに悩むほどに好きな人が出来たんだもの」
「パメラ……」
顔を上げてパメラを見る。
いつもの、穏やかに笑う彼女の姿があった。
「私達貴族の子女は、大抵親が相手を決めるでしょう? 皆、納得して、結婚してから相手と恋愛する……一般から見れば逆な手順よね? だから、この人と愛し合えるかしら? なんて不安を背負って一緒になると思う。だって、それまで他人の男性に恋心を抱いたこともないままに、結婚する人が多いもの。――でもソニアは、これが恋心でこれが相手を好きになる気持ちだって知った」
「……パメラ」
パメラの、ソニアの手を握る手に力が籠る。
「その気持ち、相手に伝えないで良いの? こんな気持ちをくれた相手に何も伝えなくて……本当に良いの?」
――はっ、とした。
そうだ。この気持ちを知ってもらいたい。ただそれだけでも良いんだ。
「私……凄く贅沢な気持ちでいたわ……。クリス様をお慕いしています、と伝えたい、それだけで良いと思って来たのに……すっかり怖じ気ついて」
ソニアは自分の指で涙を拭いながら、パメラに笑いかけた。
「ありがとう、パメラ。私頑張る! ちゃんと告白するわ。結果がどうであれ!」
「ソニア……!」
パメラとソニアはお互いに抱き締めあい、笑いあった。
「――さあ、決まったらソニアはもう少し寝るべきだわ。寝不足で酷い顔だもの」
「そんなに酷い?」
手鏡を所望したソニアにパメラは、
「止めた方が良いわ、立ち直れないわよ」
と舌をペロッと出しからかう。
「――もう!」
「ソニア、私ね貴女が羨ましい。だって、こんなに悩むほどに好きな人が出来たんだもの」
「パメラ……」
顔を上げてパメラを見る。
いつもの、穏やかに笑う彼女の姿があった。
「私達貴族の子女は、大抵親が相手を決めるでしょう? 皆、納得して、結婚してから相手と恋愛する……一般から見れば逆な手順よね? だから、この人と愛し合えるかしら? なんて不安を背負って一緒になると思う。だって、それまで他人の男性に恋心を抱いたこともないままに、結婚する人が多いもの。――でもソニアは、これが恋心でこれが相手を好きになる気持ちだって知った」
「……パメラ」
パメラの、ソニアの手を握る手に力が籠る。
「その気持ち、相手に伝えないで良いの? こんな気持ちをくれた相手に何も伝えなくて……本当に良いの?」
――はっ、とした。
そうだ。この気持ちを知ってもらいたい。ただそれだけでも良いんだ。
「私……凄く贅沢な気持ちでいたわ……。クリス様をお慕いしています、と伝えたい、それだけで良いと思って来たのに……すっかり怖じ気ついて」
ソニアは自分の指で涙を拭いながら、パメラに笑いかけた。
「ありがとう、パメラ。私頑張る! ちゃんと告白するわ。結果がどうであれ!」
「ソニア……!」
パメラとソニアはお互いに抱き締めあい、笑いあった。
「――さあ、決まったらソニアはもう少し寝るべきだわ。寝不足で酷い顔だもの」
「そんなに酷い?」
手鏡を所望したソニアにパメラは、
「止めた方が良いわ、立ち直れないわよ」
と舌をペロッと出しからかう。
「――もう!」