キミのトナリ


彼女とはそれきり会うことはなかった。


彼女に別れを告げた数日後、両親が見舞いに来た。

地元の病院で治療しないかと。
そうすれば、看病をしてやれると。

俺は一人息子で、父親が小さいながらも会社をやっていてそれを継ぐように子供の頃から言われて育った。

でも、そういうレールに乗った人生は自分には向かないと、半ば反対を押し切った形で今の会社に就職していた。

だけど、病気になってみて、家族の大切さが身に染みていた。
彼女を失った時、それは尚更だった。

だから、俺は実家に帰ることを決意した。
病気が治ったら、今度は俺が支えてやる番だと。


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