誰にも言えない秘密の結婚
「俺がミナの手紙に書いてあった住所まで行ったあと、しばらくして小包が届いたんだ。差出人の住所も名前も書いてなくて……。それを開けたら手紙と日記が入っていてね」
「それはミナちゃんからですか?」
そうであって欲しいと思い、拓海さんにそう聞いてみたけど、拓海さんの答えは違っていた。
拓海さんは首を左右に振る。
「ミナのお母さんからで、そこで初めてミナが亡くなったことを知ったんだ……自殺だった……。手紙には、もうミナのことは忘れて欲しいことと、自分たちには関わらないで欲しいことが書いてあった」
「…………ッ!」
声にならない声が口から漏れた。
「ミナは、俺に嘘をついてたんだ……」
「嘘?」
「俺に送っていた手紙に書いていた内容は全て嘘だったんだ……。本当はね、学校にも家にも居場所がなくて孤独だった。日記にはミナの苦しい胸の内が書かれてあったよ。最後の日……ミナが俺に電話をくれた前の日の日記には、お兄ちゃんに会いたいって書いてあった……」
拓海さんはそこまで言うと肩を震わせ泣いていた。
「どうしてあの時、ろくに話もしないで電話を切ったんだろう……どうしてあの時、話をちゃんと聞いてやらなかったんだろう……すぐに会いに行ってやれば良かった、ミナを守ってやれなかった、助けてやれなかったって後悔して、それが悔しくて……ミナのSOSに気付いてやることが出来なかった……泣いても叫んでも喚いても暴れても心が苦しくて……苦しくて……」
「拓海さん……」
名前を呼ぶことしか出来ない私。
なんて声をかけていいのかわからない。
拓海さんの壮絶な過去、真実を聞いて、胸が張り裂けそうなくらい苦しくて痛くて……。
それでも私には拓海さんに何もしてあげれない。
ただ、肩を震わせて泣いている拓海さんを見ることしか出来なかったんだ……。