誰にも言えない秘密の結婚
拓海さんに話をする前に、会計で呼ばれ、受付で会計を済ませて、病院を出た。
「あのね、拓海さん?」
「ん?」
「妊娠してるって!内診ではまだ赤ちゃんの姿は見えなかったけど、赤ちゃんがいるよ。ここに」
「うん」
「また2週間後に来て下さいって。その時に赤ちゃんの姿が見えたらいいな」
「うん」
あれ?
あまり嬉しそうじゃない?
拓海さんは笑うこともなく、そう返事をしただけ。
もっと喜んでくれると思ったのに。
本当は嬉しくないのかな?
「拓海、さん?」
「ん?」
「あのね、えっと、あまり、嬉しくない?」
「何が?」
「赤ちゃんが出来たこと……」
「そんなわけないじゃん」
「でも……」
「嬉し過ぎて叫びたいし、明をギューっと抱きしめてキスもしたいけど、外だから叫べれなくて、抱きしめてキスも出来ないから我慢してるだけ。もぉ!明は変なこと考え過ぎ!帰ったら思いっきり叫んで、明をギューっと抱きしめて、キスするからね」
拓海さんはそう言って、笑顔を見せると、私の頭を撫でた。
確かに外では叫べれないし、抱きしめることも、キスすることも出来ないよね。
拓海さんが喜んでくれて良かった。
再び、私はお腹に手を当てる。
私たちの赤ちゃん。
私たちの大切な宝物。