誰にも言えない秘密の結婚
「明?お疲れ様」
病室に戻った時、拓海さんは私の手を握りながらそう言った。
私は首を左右に振った。
「さっきね、新生児室にいる赤ちゃんを見て来たけど、その中で、俺たちの子が1番可愛かったよ」
拓海さんはそう言って、目をキラキラさせていた。
「早速、親バカだね」
私はクスクス笑う。
「パパ?名前、考えた?」
「考えたよ」
「何?」
名付け辞典を何冊も買い、真剣に考えていた拓海さん。
私が聞いても、生まれるまで教えないと言って教えてくれなかった。
「名前はね……」
「うん」
「ナツ」
「ナツ?」
「そう、漢字で春夏秋冬の夏。夏生まれだから、あと夏のようにキラキラ輝く子に育って欲しいから。どう、かな?」
「うん!素敵な名前!」
「本当?良かった〜」
拓海さんは安堵したように笑った。