誰にも言えない秘密の結婚
「吉田?」
コンビニを出たところで、後ろから声をかけられた。
ビクンと肩が揺れる。
ゆっくり振り向くと、そこにいたのは藤原さんだった。
「あ、お、お疲れ様、です……」
私はそう言って頭を下げた。
「こんなとこで何してんの?飲み会じゃなかった?」
「あ、いや、えっと……もうお開きになったので……」
「そっか」
藤原さんはそう言って、さりげなく腕時計を見た。
飲み会にしてはお開きの時間が早いと思ったんだろう。
「藤原さんは、仕事の帰りですか?」
「いや、まだ仕事が終わらないから、食料調達にね。夜中になるか泊まりになるか、どっちかだから」
「そ、そうなんですね……じゃあ、私は帰り、ます……」
私は藤原さんに会釈をして、背を向けて駅に向かおうとした時……。
「ねぇ?」
藤原さんに再び声をかけられ、足を止めた。
「ご飯、行かない?」
「えっ?」
驚き、振り向くと、藤原さんは笑顔で私を見ていた。