誰にも言えない秘密の結婚
笑顔の藤原さんに対して、目を見開いたままの私。
これは、コンビニご飯も飽きたから、たまにはファミレスかカフェでご飯食べたいな。
でも1人で行くのは嫌。
コンビニ前で、たまたま会ったのが吉田だけど、1人で食べるよりはマシか。
そんな感じなんだろう。
私に好意があって誘ってきたわけでない。
これは、きっと社交辞令。
短時間の間にそんな思いが頭をグルグル巡っていった。
社交辞令だとわかっているのに。
なのに、胸がドクリと跳ね上がりドキドキに変わっていく。
「で、でも、お仕事が……」
「あー……まぁ、どうせ夜中になるか泊まりになるから、1、2時間くらい席を外したって構わないよ。事務所には空翔しかいないし」
「いや、でも……」
「ご飯、付き合ってよ」
藤原さんはそう言うと、いきなり私の手を握ってきた。
ドクンと、さっきより跳ね上がる胸。
「えっ、ちょ、ちょっと、藤原さん?」
藤原さんは私の呼びかけにも答えることなく、私の手を握ったままスタスタと歩き出した。