誰にも言えない秘密の結婚




「社長に怒られちゃいますね」



結局、頼まれていたはずのご飯も買わずに事務所まで帰って来た。


それに藤原さんと会ってから、すでに2時間ほど経過している。


怒ってないわけないなと思うけど……。



「どうだろ?」



なんて言って、鼻で笑う藤原さんはどこか他人事。



「てか、もし時間あるなら寄ってく?空翔に結婚の報告したいしさ」


「えっ?」



結婚の報告……。


ついにこの時が来た。


ずっと黙ってるわけにはいかないのはわかっているけど、でも改まって報告となると緊張が高まってきて逃げたい気持ちになってしまう。



「それに……そんな格好じゃ電車に乗れないでしょ?」


「えっ?」



藤原さんの指差す方を見る。


黒いスカートは土で汚れていて真っ白。


ストッキングは電線どころか破れて穴が空いてる。



「うわっ!」



全く気付かなかった。


…………あ、だから……歩いてる時にすれ違う人にジロジロ見られてたんだ。


あれは私みたいなブスな女が藤原さんみたいなイケメンと歩いてるから見られていたわたけじゃなくて、原因はこれだったのね。


どこで何をしてきたんだ?どんな激しいことをして来たの?みたいな。




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