誰にも言えない秘密の結婚
『はい、空と海建築設計事務所でございます』
「あ、あの……吉田です……お疲れ様、です……」
私は藤原さんのスマホではく、事務所に電話した。
『えっ?吉田?あれ?何で事務所に?』
「あ、す、すみません……。携帯の方に電話しようと思ったんですが、何か緊張しちゃって……5分くらい悩んで、事務所に電話しちゃいました……」
『そうなんだ。てか、事務所でもスマホでも電話には変わりないけどね』
藤原さんはそう言ってクスクス笑った。
「あ、確かに……」
藤原さんの言う通りだ。
電話で話をするんだから、どちらにかけても同じことだと、今気付いた。
『実家に電話したの?それで電話してくれたんでしょ?』
「はい、明日は両親は家にいるみたいなので、大丈夫です……」
『良かった。じゃあ、何時にしようか?』
「あ、えっと、11時でもいいですか?」
『いいよ。明日、吉田のアパートまで行くよ。そこから一緒に行こうか?』
「はい。宜しくお願いします」
『こちらこそ。じゃあ、また明日ね。ちゃんと戸締りして寝るんだよ?』
「はい」
電話を切った。
あぁ、緊張したぁ……。
何で実際に話すより、電話って緊張するんだろう……。
電話を通して聴こえてくる藤原さんの声が、いつもと違った感じがして胸がキュンと高鳴った。
いよいよ、明日……。
今日、ちゃんと寝れるかな……。