誰にも言えない秘密の結婚



実家を出たのは夕方だった。


来た道を藤原さんと並んで歩く。



「凄く緊張した」


「私もです」


「でも、吉田のお父さんもお母さんも良い人で良かった」


「ありがとうございます」



あと少しで、アパートの前に着いてしまう。


何だろう……この気持ち……。


胸がザワザワしてる。


もっと一緒にいたい、なんて思ってしまう。



「ねぇ、吉田?」


「はい」


「公園、行かない?」


「公園、ですか?」


「あぁ、行こう」



藤原さんはそう言って、隣にいる私の手をギュっと握ってきた。




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