誰にも言えない秘密の結婚




「寝不足?」



藤原さんは私の顔を覗き込むようにそう聞いてくるとクスリと笑った。



「あ、はい……昨日、あまり寝れなくて……」



一睡も出来なかったなんて恥ずかしくて言えない。



「そうなんだ。実は俺もなんだけどね」


「そうなんですか?」


「あぁ、緊張して」



藤原さんはそう言ってクスリと笑った。


春風が吹く。


4月とは言え、夕方に吹く風は少し冷たくて肌寒い。



「あれ?藤原さん、スーツのジャケットは?」



確か、スーツのジャケット着てたよね?


でも今はシャツのまま。



「吉田が風邪引くといけないから……」


「えっ?」



私は自分の身体に目をやる。


そこに藤原さんのスーツのジャケットがかかってるのが見えた。


って、何で今頃気付くわけ?


普通、すぐ気付くでしょ?


どんだけ鈍感なんだ、私……。




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