誰にも言えない秘密の結婚



記憶を無くして、どれくらい時間が経ったんだろう……。


目を開けると、何だか妙に清々しい気分。


休みの日に遅くまで寝た時のように。


…………って、あれ?


何で私、身体が横になってんの?


確か座ってたはず……。


横向きだった身体を上に向けた。



「えっ?」



寝ボケていた頭が一瞬にしてスッキリして、細めていた目がだんだん見開いていく。



「おはよう。よく眠れた?」



私の顔の上に笑顔の藤原さんの顔があって……。


その時、私は藤原さんの膝枕で寝ていたとわかった。



「あ、ゴ、ゴメン、なさい!」



恥ずかしくて、胸がドキドキして……。



「あ、いいよ。そのままで」



慌てて身体を起こそうとした私に藤原さんはそう言って、優しく頭を撫でた。




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