青空の約束 ~先輩と私の初恋~




「何?そんなに見つめて」


「…え?み、見てないですよっ!この問題ですよね!えーっと…」


冷静を装い、気を取り直して教科書とノートに向き合う。


「今日は終わろ。また明日もあるし」


「そうですねっ」


テストまでの一週間はバイトも休みにしてもらい、みっちり先輩がテスト勉強に付き合ってくれることになった。


" テストまで休みたいです "とは誰もが言いにくいこと。だが、先輩と一緒に勉強すると知った響子さんは快くOKしてくれた。


「先輩お腹空きませんか?」


「アイス」


「いいですね!アイス食べましょっ」


口数は少ないが、だんだん先輩のことがわかってきた気がする。

これが最近の私の嬉しいこと。


「先輩っていつも寝てるイメージだったんですけど頭良いんですね!」


「普通だよ」


「いや、すごいですよ!先生よりわかりやすかったです!」


「…フッ、大げさだから」


放課後、誰もいない校内を先輩と歩く。

二人だけの空間がこれから一週間続くんだ。そう思うとなぜか、誰も味わったことのない特別な体験をしているような感覚だった。



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