君は僕のもの




…もう、本当に。

何で樹はあたしよりも立場っていうか地位?が何十倍も上で。


分かってる癖にこういうことを聞く。




だって笑ってるんだもん、顔。

…分かってます、そう言ってるようなものだよ。




「っ…好き、だよ、」

精一杯あたしは言うと、チラッとだけ樹の顔を見る。




…あっ!



「樹…っ、

顔、真っ赤だよぉ!」


こんな樹、初めて見るかもしれない。

だから何か嬉しい気持ちになって笑っちゃいけないとか思いつつも笑ってしまう。



「…笑ってんじゃねぇよ」


案の定、ご立腹の彼。



そのまま強引にあたしの唇を塞ぐと少し口を開いたそのわずかな隙間から樹の熱い舌が侵入する。



拒んでもソレはあたしの口内を弄ぶように動き回る。



「…んっ…、っ…」

そんな生まれて初めてのキスに、変な気分になる。



長い、長い長いキス。



「…なんつー声出してんだよ、」

クスクスと笑ってあたしの唇を拭うと、その反対の手であたしの髪を撫でる。



その優しい笑顔は…好き、だからだよね?


やっぱり“言葉”が無いと不安になってしまう。心だけとか気持ちが通じ合うとかそんなことじゃなくて、



いまのあたしは確かな確信、それが欲しかったの。



「樹は…、その…っ

…あたしのこと、好き?」


意を決して言った言葉。



そんなあたしを見て少し驚いた表情を樹はすると、すぐにまたいつもの余裕な表情に戻って、…ゆっくりと。


ゆっくりと再びあたしに顔を近付けてくる




また、キス?

…そうじゃないよ、違うんだよ。樹、


そんなことを一人思いながら目を瞑ると、





「好きだよ…、」

耳元で聞こえた…そう魔法の言葉を囁いてくれたの。



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