偽りの婚約者に溺愛されています
本心を打ち明けます!

新たな依頼です


「ぎゃっ!」

ホテルの一室に入り、ベッドの上にドサッと下ろされる。

「ちょっと待ってろ。出てくる。すぐに戻るから」

私を見下ろしながら、智也さんは無表情で言う。

「ど、どこに行くの」

彼は私の問いかけには答えず、そのまま部屋を出ようとした。

ドアを閉める直前に、ピタッと足を止めるとさらに一言呟く。

「逃げるなよ」

バタンとドアが閉まり、私は部屋に取り残された。

逃げるなと言われても、真っ赤でこんなに派手な柄の振袖だし、恥ずかしくて表を歩けそうにない。

ムクっと起き上がり、部屋にあった冷蔵庫を開け、そこに入っている水を取り出した。それを一気にゴクゴクと飲み干す。
そういえば、高級懐石を食べそびれた。
あのときは食欲がなかったが、今となってはお腹がグーグー鳴り始めている。

水のペットボトルをテーブルに置き、キョロキョロと部屋を見回す。
大きなベッドが二つと、テレビに鏡のついたドレッサー。小さなテーブルとソファ。
一見、変わったところもないシンプルな部屋。


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