偽りの婚約者に溺愛されています
「関係なくないだろ。桃華は兄さんの婚約者なんだから!」
修吾さんが智也さんを睨みながら立ち上がる。
私は驚いて、目を見開いた。
「それは、父さんが勝手に決めたことだ。俺は桃華とは結婚しない」
「勝手になんでも決めるのは兄さんのほうだろ。桃華と結婚しなかったら、グローバルスノーにも影響がでる」
「直江ゴムにはきちんと話すつもりでいる。わかってくれるはずだ」
ちょっと待って。
智也さんに婚約者?会社に影響?
私はふたりの会話を聞きながら、顔面蒼白になっていた。
「あ……夢子さん。ごめん、つい」
そんな私に気づいた修吾さんが、話をやめて座り直した。
「もういいから、兄さんは出て行ってくれ。俺は夢子さんと話があるから」
「話なんか必要ない。夢子は俺の女だ」
智也さんは、私の腕を引っ張り立たせると、そのまま部屋を出ようとした。