朝から晩まで!?国王陛下の甘い束縛命令


『あなたをシャイレンドルフに差し出せと言われているの』

『えっ』

『そうすればこれからもアミルカの王族の最低限の暮らしは約束すると。拒めばこの城から追い出し、平民に落とすと言うの』


いつの間にそんな話になっていたのか。

戦争中もお城で待っているしかできなかった私は、外で起きていることをあまり知らないまま終戦を迎えてしまった。もちろん、父が亡くなった現場も見ていない。そんな状態で自分が敵国の人質になると聞いても、なにひとつ実感が湧いてこない。


『仕方ないと言えど、可愛い一人娘をシャイレンドルフに嫁にやるなんて。ああ、悔しい』


悔しいと言いながら、平民として労働するより、私を敵国に差し出すことを迷いなく決めているような気もするんですけど……。まあ、無理よね。産まれた時から蝶よ花よと育てられ、王族として長い時間を生きてきたお母さまがいきなり平民になって労働して税金を納めながら暮らすだなんて。


『嫁って……私、誰かのお嫁さんになるんですか?』


王女が他国に嫁ぐのはよくある話。ほとんどが国同士の友好のための政略結婚だったりするのだけど、いざ自分にそんな話が舞い込んでくるとは。相手は敵国のどなたかしら。大臣とか、貴族とか? もしかしたら軍人かしら。


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