エア・フリー 〜存在しない私達〜《前編・誕生》
「おい。大丈夫か?」

 中条家の門の前に立つと、望の足が停まった。

(9年前、やっとここから出られた時には、もう決してここに来る事はないだろうと思っていたが、また帰ってきてしまった…もう吹っ切っていたハズなのに、辛かったここでの生活がついこの間の事の様に思い出されてきた。でも今日は、火菜を助ける為に来たの。  神様 どうか私に勇気を下さい。)

「よし!行きましょうか!?」

 付き添う谷川も緊張を解く為、自分自身に喝を入れた。

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