エア・フリー 〜存在しない私達〜《前編・誕生》
テレビ局の車から、スタッフらしき三人の男女が降りて後ろから器材などを下ろし始めた。
その間に、黒沢は部下の車のトランクに手足を縛られた源が乗っているのを確認し、車を急いでガレージに入れるように指示した。
これをテレビ局のものに見られてはマズイと判断したからである。
美佐子との電話はまだ繋がっていて、このままテレビ局との話しを聞きたいと言った。
そこへ、カメラなどを運びながらテレビマンたちが黒沢に近づいてきた。
「この度はご愁傷さまでした。私たちは『こーみんテレビ』のものですが、実は、亡くなられました中条様が長年に渡って施設の方へ寄付をして下さいましたので、その名誉を讃え故人の最期をドキュメンタリー形式にして欲しいと地域住民からの依頼がありましたので、撮影の方よろしいですか?」
眼鏡の男は、滑らかな口調でそう言った。
(中条が寄付するなど、ありえない!だろう)
と美佐子は思うのだが、ここ数年、火菜のおかげで株でだいぶん儲けているという事は知っていた。
そして、その中条の私財が今のところまだみつかっていない。
その間に、黒沢は部下の車のトランクに手足を縛られた源が乗っているのを確認し、車を急いでガレージに入れるように指示した。
これをテレビ局のものに見られてはマズイと判断したからである。
美佐子との電話はまだ繋がっていて、このままテレビ局との話しを聞きたいと言った。
そこへ、カメラなどを運びながらテレビマンたちが黒沢に近づいてきた。
「この度はご愁傷さまでした。私たちは『こーみんテレビ』のものですが、実は、亡くなられました中条様が長年に渡って施設の方へ寄付をして下さいましたので、その名誉を讃え故人の最期をドキュメンタリー形式にして欲しいと地域住民からの依頼がありましたので、撮影の方よろしいですか?」
眼鏡の男は、滑らかな口調でそう言った。
(中条が寄付するなど、ありえない!だろう)
と美佐子は思うのだが、ここ数年、火菜のおかげで株でだいぶん儲けているという事は知っていた。
そして、その中条の私財が今のところまだみつかっていない。