エア・フリー 〜存在しない私達〜《前編・誕生》
 その頃、全面スモークを張ったテレビ局の車中で、谷川と望は一部始終を見ていた。

「おーっ!アイツらスゲェ〜!! 中に入ったぞ!」

 名付けて『劇団テレビマン』たちは期待以上の働きをしてくれている。

 谷川と望は興奮した。

 そして、突然、隠しマイクがONになって

「こちらケンです。潜入に成功しました。マイクはこのままにしておきますのでヨロシクどうぞ。」

「了解!その調子でヨロシク。」

 そこに、美佐子との電話を終えた黒沢が焦って戻ってきた。

「取材はOKだそうです。ただし、いくつか制限させていただきますがよろしいですか!?」

「それはモチロンです。何なりとおっしゃって下さい。」

「ありがとうございます。それでは、まず…」

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