エア・フリー 〜存在しない私達〜《前編・誕生》
男二人がすぐに勇の後を追ったが、今度の勇は一心不乱に駆けているので、その距離はどんどん広がって行った。
リーダーの男が弥生の脇腹を思い切り蹴り付けた。
すると、弥生は
「あぐうっ」
と呻いて倒れこんだ。
しかし、もう男の耳は半分以上が引きちぎれ、ぶら下がっている状態になっていたので、
「いてぇよお〜」
と泣き叫んで座りこんだ。
リーダーの男は、とりあえず弥生を抱えあげ車に乗せた。
その一部始終を玄関口で見ていた黒沢は、弥生の血まみれになった口元を見ながら涙を流していた。
(とても俺たちの太刀打ち出来る相手ではなかったのだ。なんて強いんだ。子を守ろうする母の執念の固まりだ。望といい、弥生といいスゴすぎる!)
そう感じて立ちつくしていた。
すると、リーダーの男は黒沢に気がついて、
「俺もヤキが回ったもんだ。今度は俺自身がヤバくなったよ。でも、これが裏の世界だ。よおーく覚えておけ。」
そう言い残すと、
「さあ!行くぞ!」
と、片耳を負傷した男をうながして車に乗り込んで立ち去った。
「恐らく勇は捕まらないだろう。」
と、黒沢は確信していた。
リーダーの男が弥生の脇腹を思い切り蹴り付けた。
すると、弥生は
「あぐうっ」
と呻いて倒れこんだ。
しかし、もう男の耳は半分以上が引きちぎれ、ぶら下がっている状態になっていたので、
「いてぇよお〜」
と泣き叫んで座りこんだ。
リーダーの男は、とりあえず弥生を抱えあげ車に乗せた。
その一部始終を玄関口で見ていた黒沢は、弥生の血まみれになった口元を見ながら涙を流していた。
(とても俺たちの太刀打ち出来る相手ではなかったのだ。なんて強いんだ。子を守ろうする母の執念の固まりだ。望といい、弥生といいスゴすぎる!)
そう感じて立ちつくしていた。
すると、リーダーの男は黒沢に気がついて、
「俺もヤキが回ったもんだ。今度は俺自身がヤバくなったよ。でも、これが裏の世界だ。よおーく覚えておけ。」
そう言い残すと、
「さあ!行くぞ!」
と、片耳を負傷した男をうながして車に乗り込んで立ち去った。
「恐らく勇は捕まらないだろう。」
と、黒沢は確信していた。