エア・フリー 〜存在しない私達〜《前編・誕生》
弥生と勇は全くの無抵抗で、何も話さずにいたので、ブローカーたちも特に、縛る事もせず、車へと連れて行った。
リーダーの男は、
(恐らくこの二人は、今から自分たちの身に降り掛かる災難がどれくらいの地獄なのか知らないのだろう!と思った。『知らぬが仏』という言葉がある通り、知らずにいる方がどれだけ楽か…)
恐怖に泣け叫ぶ何人もの男女を運んで行った男は、内心で、今回は割合に楽だったと油断した。
その時、弥生が
「フフッ」
と不気味な笑いをした。
そして、ブツブツと何やらつぶやいている。
弥生についていた二人の男は、
「気味悪いな!」
「おかしくなったんじゃないか?」
と口々に呟き、そのうち一人が
「何だって?」
と弥生の口元に耳を近付けた。
すると、弥生はガブリとその男の耳にかぶりついた。
「いててぇー。何しやがる」
男は弥生を払い除けようとしたが、弥生は死んでもいい覚悟で噛み付いているので、男の耳は引きちぎれようとしている。
これには後の三人の男も驚いて、立往生したので、今度はその隙に勇が逃げ出した。
リーダーの男は、
(恐らくこの二人は、今から自分たちの身に降り掛かる災難がどれくらいの地獄なのか知らないのだろう!と思った。『知らぬが仏』という言葉がある通り、知らずにいる方がどれだけ楽か…)
恐怖に泣け叫ぶ何人もの男女を運んで行った男は、内心で、今回は割合に楽だったと油断した。
その時、弥生が
「フフッ」
と不気味な笑いをした。
そして、ブツブツと何やらつぶやいている。
弥生についていた二人の男は、
「気味悪いな!」
「おかしくなったんじゃないか?」
と口々に呟き、そのうち一人が
「何だって?」
と弥生の口元に耳を近付けた。
すると、弥生はガブリとその男の耳にかぶりついた。
「いててぇー。何しやがる」
男は弥生を払い除けようとしたが、弥生は死んでもいい覚悟で噛み付いているので、男の耳は引きちぎれようとしている。
これには後の三人の男も驚いて、立往生したので、今度はその隙に勇が逃げ出した。