未知の世界5

術衣に着替えて消毒して……と長い手順を思い出しながらオペ室に入る。







患者さんも執刀医の石川先生も到着すると、すぐにオペは始まった。







見学だけなので、そばから手元を眺めことしかできないけど、メモ帳片手に集中する。








………………









どのくらい経ったのか、終わって時計を見ると6時間が経っていた。








立ちっぱなしだけど、集中しているのでそれも苦にならない。







それよりもこの難しいオペを難なくこの時間でクリアする石川先生は、さすが海外での経験があるだけ違う。







体中を洗い流し、着替えるとものすごい量の汗をかいたことが分かった。







こんな汗、普段かいたことがない。







これは相当体力がないと日頃の生活の中でオペをするって、大変なこと……。






だから石川先生も幸治さんも体が鍛えられてるんだな。







と、関心してる場合ではなく、今やったオペを記録のコピーを見ながら復習する。






そしてハッと気づくと既に業務時間終了間際。






『なぁ。』







ハッとして隣を見ると、石川先生がこちらを見てる。







『とりあえずすぐにこれを飲まないと点滴するぞ。』







えっ!?







『終わってから何も口にしてないだら?』






と言われハッとして口に手を当てる。







うわ、カピカピ。








唇がカピカピになってる。







点滴と言われてすぐに目の前のドリンクを飲むと、相当体が水分を欲しがってたのか、一気にペッドボトル一本を飲みきってしまった。







『脱水で倒れたりしたら、俺のオペには入れないからな。』






「は…はい。」







『分かったら吸入行ってこい。』








そう言われて時間を思い出すと、検査室の時間が頭をよぎり、慌てて医局を出た。






水分足らなかったからかな……少し胸の辺りがザワザワする。







また医局に戻ったら何か飲もう。








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