【完】恋愛エゴイズム
「あっ!おい!泣くんじゃねぇよ。オレが泣かしたと思われんだろうが。女の涙なんか見たかねぇんだよ。今すぐ泣き止め!ほらこれやるよ!」
 

 
そう言ってその人がくれたのは、到底似つかわしくない、小さなピンク色の袋に入ったキャンディだった。
 

「…あめ?」
 
「あぁ。さっき知らねぇ女から無理やり押し付けられたって…何、笑ってやがんだよ?」
 
「ふふ。これ、もらってもいいの?あとで怒んない?」

「はぁ?怒んねぇっつーか、人が折角フォローしてやってんのに、ウケてんじゃねぇよ。おら。てめぇも退けよ。オレは今から部会なんだよ」
 
「ぶかい?ぶかいってなぁに?」
 
「…てめぇの頭は蝶でも舞ってんのかよ。『部活動会議』に決まってんだろ」
 
「あー…。で。あなたはだぁれ?」
 
「……」
 
「…あれ?ねぇ?」
 
「……川」
 
「ん?」
 
「相川だ。つーか、生徒会役員の名前くらい覚えとけ。ばーか」
 

それだけ言うと、バタンと部室の奥へとその相川と名乗った彼は消えてしまった。
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