God of Beast

「ちぃっ！」

一旦距離を置くヴァネッサ。

「何なんだお前は。只のドラン人じゃないのか」

「ドラン人には違いないさ。只の…かどうかは分からんがな」

ウラヌスは腕組みした。

「斉天大聖に追い付く為に、俺はトレーニングルーム内で死に物狂いの訓練を重ねた。寝食も忘れ、肉体を徹底的に追い込み、生命の危険に瀕するほど体を苛め抜いて鍛え上げた…それなのに俺は超越神化に目覚める事すらできない…悔しさと絶望で、気も狂わんばかりだった…なのにあろう事か、俺よりも先にピワン人のシリウスが超越神化に覚醒した事を、外からの大きな能力値で知って…俺の限りなく野生に近い、本能の部分で何かがキレた」

その瞬間、ウラヌスは現在の姿へと変貌したのだという。

神化とも、超越神化とも違う、全く未知の形態に。

「……ドラン人の祖先は、桁外れの能力値を持つ凶暴な化け物だったと聞いた事がある。破壊し、食らい、暴れ回るだけの野蛮な獣だったとな。恐らくは俺の体に眠るその祖先の血が目覚めたんだろう。いわば、原始形態とでもいうべきか。進化ではなく退化、先祖返りといった所か」