気付いた時には2人の君が・・・
決心
テスト1週間前。僕は可憐の家を訪れていた。理由はまぁ言うまでもないようだけど、勉強をするためだ。
「ここがわからないんだけど、これってどうやるの?」
今解いていた問題を見せ教えをこう。僕がわからないのは三角比のところ。sinとかcosとかもうわけがわからない。
「それは、公式があってこの2つの辺と間の角を使えば解けるよ。だから、公式を覚えれば大丈夫。」
「そうなんだ、ありがとう。じゃあこの辺の長さと角の大きさを代入すればいいのか。」
「そうだね」
ノートに言われた通りに公式を当てはめた式を書く。思ったより単純で簡単だった。
「可憐はわからないとこある?」
「ここがわからないです」
そう言って僕に見せたのは化学の液性を判断する部分だった。
「それは、分子のこの部分を見て、判断するんだよ。例えば…」
一通り勉強をやり遂げ集中力が切れたところで休憩となった。勉強は一人でやった方がすすむとおもっていたけど、むしろわかりやすく教えようと努力したおかげで自分でも深く理解出来るようになった。
「お菓子と飲み物持ってくるね」
そういうと部屋から出て階段をおりていった。僕は足がしびれてきそうだったので立ち上がる。そこでふと彼女の机の上にある一冊のノートに目が止まった。そのノートには日記とかいてある。人のものを見るのもどうかと思ったけど、気になってしまい中を覗いた。
強く折り曲げられていて、めくったときに開いたそのページには
『今日はとても楽しかった。春野くんに出会えていろんなことが出来るようになった。本当によかったと思う。いつかは二重人格も治せるように頑張りたい』
と書いてあった。
これを見てまだ揺らいでいた思いがぐちゃぐちゃでまとまらなかった思いが、まとまった。やっぱり彼女のために出来ることはしよう。精一杯頑張ろうと。
「遅くなっちゃった。お菓子と飲み物。」
「ありがとう」
ようやく決心がついた。
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