偽りの先生、幾千の涙


今の流れで分かるだろうけど、私は学校のカリスマ的存在だ。


所謂、スクールカーストの頂点にいる。


頭も運動神経も良いと自負しているし、実際、成績は全部一番。


芸術選択は音楽で受けているけれど、ピアノ、バイオリン、フルートは全部出来るし、歌も上手いと思う。


おしとやかで万人に優しい優等生を演じているから、先生からの評判も抜群だ。


逆に虐められるんじゃないかって?


まさか、私の父親、人間性はろくでもないけど、一流企業のCEOだもん。


というわけで家柄も抜群で、おまけに顔も綺麗な方なので何の問題もない。


家と実力で、非の打ち所のない女子高生の憧れという猫を被る事に成功した。


おかげで、取り巻きが鬱陶しい事になっているのだけれども。


「果穂様、今度また化学を教えていただけませんか?
春休みの宿題が難しくて。」


「私もお願い出来ますか?」


いやいや、あの宿題、かなり簡単だったけど、3学期の授業聞いてた?


そんなツッコミを笑顔で隠して、承諾すると彼女達は喜ぶ。


ってか果穂様って呼ぶの本当に止めてくれないかな、後輩ならまだ許せるけど、同級生に呼ばれるの本当に嫌なんだけど。


この前まで先輩にも果穂様って呼ばれていた事を思い出せば全然マシだけど、それでも嫌なものは嫌だ。


ここだけは何故か皆、私の言う事を聞いてくれないから困る。







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