偽りの先生、幾千の涙
それでもドア越しの会話なんて、父親の怒鳴り声以外は聞こえない。
歯がゆい気持ちを持ってしまったまま、私は数日過ごした。
それでも彼に直接聞けるわけもなかったし、気になった事が脳から消える事なんてなかった。
だから私は、自分で調べようと思った。
塾から帰ってから、父親が帰るまでの時間を毎日利用して、部屋の中を探し回った。
毎日数時間、父親が出張の時は夜中まで、私は手がかりを探した。
でも全く見つからない。
だが代わりに、探してもいない物を見つけた。
粉飾決算の書類、インサイダー取引の証拠のテープ、有名な暴力団と取引した記録の入ったUSBメモリ…他にも子供が見るべきでないものが沢山あった。
私が父親を完全に信用しなくなったのも、悪い世界が世の中にはすぐそこにある事を知ったのも、この頃だった。
そして興味本位で始めた母親の死についての調査も、皮肉な事に父親の悪事のせいで本格的に知りたいと思うようになった。
探し始めて2ヶ月ぐらい探した時だった。
その日も父親は出張で家にいなかった。
使用人も寝静まっていて、絶好の機会だと思い、早くに寝て、朝の3時頃起きた。
目をこすりながら、書斎のドアを静かに開けて、部屋の電気をつける。
急に白く光る部屋に、一瞬を眩暈のような症状が表れたが、そんなのも束の間で、私はいつものように探していない棚に手を伸ばす。
ちょうどその時だった。
机の上にあった携帯電話がけたたましい音を立て始めた。