不器用なふたり

「遅くなってすみません。プレゼンの資料、持ってきました!」







勢いよく会議室へ飛び込むと、今回のプロジェクトメンバーがの何名かがそこにはいた。





その中心にいたプロジェクトリーダーに、私が作った資料を手渡す。すると、彼は私を見てわざとらしくため息を吐いた。









「佐藤さんさぁ。たったこれだけの大したことない資料にどうしてそんなに時間がかかるの?」

まるであざ笑うかのようなその表情に、全身の血がざわざわとする。

感謝の言葉は期待していなかったけれど、こんな直球な嫌味も想像してなかった。






突然のことに、頭が真っ白になりながらも、でも私の想いをたどたどしく口にする。









「すみません、作るのが遅いことは重々承知しています。でも、私はわかりやす…」


「プレゼン資料ってさ、完璧求めてないんだよね。企画さえ良ければオッケーなの。まあ事務ばっかりの総合職の佐藤さんじゃ、わからないかな。」





そう言って、みんなでにたにたと笑う。

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