強引同期に愛されまして。
＊

部署に戻ると、田中くんから召集のメールが来ていた。
十六時に会議室ね。自分の今日の予定を確認し、ＯＫと返信をする。

さっきの話だと通信に関するトラブルに対しての相談のようだから、Ｗｅｂ関連の接続トラブルの事例をいくつかピックアップしておこう。


「……あ、ヘルプデスクも巻き込んだほうがいいかな」


ヘルプデスクは、社内の駆け込み屋みたいなところだ。自分の部署で対処しきれないときに相談に来ると、いい感じに他部署とパイプをつないでくれる。
広範囲にそこそこ深い知識を持っているので、彼らに入ってもらえると全体がスムーズに見渡せる。

私はしばらく不在にする旨を近くの社員に伝えて、ヘルプデスクに向かった。
少数精鋭のこの部署には、仲のいい一つ後輩の新沼（にいぬま）……もとい九坂初音（くさか　はつね）がいる。


「初音、今大丈夫？　ちょっと相談があるんだけど」

「三浦さん、お疲れ様です。いいですよー」


ちょっと電話来たら頼むね、と近くの同僚に言って初音が出てきた。
私たちは、そのまま休憩スペースまで行き、コーヒーを買う。


「お疲れさま。どう？　結婚生活は」

「あーまあまあ順調ですよ。三浦さんとこの部署の子、週末結婚式だったんですよね。どうでした？」

「いいお式だったわよ。あの式場は移動が少なくていいわ。でも……何気にこの会社、社内結婚多いわよね」


初音の旦那様も技術部に所属するＣＥだ。結婚してまだ一年も経っていないけど、ふたりとも上手に仕事と家庭を両立できているような気がする。まあ、ヘルプデスクは大変だけど残業はほぼない部署だからやれるのかもしれないけど。

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