毒舌王子に囚われました
「んなことねーよ?」
「最近彼女と別れたんでしょ?」
「うん」
「理由は?」
「……好きになれなかったから」
「そこよ、そこ! 好きでない相手と関係もつなっつーの。可哀想だと思わないの?」
「なんで? 俺に愛はないけど、それでもオッケーな相手選んでるよ。最初はライトな付き合いでいいって言ってくれるのに、だんだん『私だけを見て』『愛してるって言って』とかワガママいってくるんだ」
愛はないけど、それでもオッケーな相手……かぁ。
秋瀬さんもそんな風に考えているのかな。
ということは、わたしがワガママになれば、見放される……?
「あ、智佳!……ごめん、ちょっと行ってくる」
莉菜が、席をはずす。知り合いを見つけて、トレイごと持って行ってしまった。
おかげで佐久間くんと2人きりに。
ちょっと気まずい。莉菜がいなければ、佐久間くんみたいな人と近づくこともなかったと思う。
佐久間くんと莉菜は、同じクラスにいたら、どこから見ても人気者タイプ。
わたしとは真逆だ。
「ラッキー」
「へ?」
「土生と2人きり」
「…………」
「俺、ゆっくり話してみたかったんだよね」
なんとも胸キュンな台詞だが、佐久間くんがいうと、誰にでも言っていそうなせいかときめかない。
「ところでさ、俺と、付き合わない?」
「……は?」
「部長なんてやめといて」