毒舌王子に囚われました
と、男がこちらに歩いてくる。
ひぃぃい……!!
思わず、顔を背ける。
「すみません、あの、私……」
「ここまでこれば見えるだろう」
――!?
グイッとあごを持ち上げられ。
目と鼻の先――いいや、顔のすぐ前まで男が自分の顔を持ってきた。
それはもう。
キス……、しちゃいそうなくらい近くに。
「見え、すぎて……、見えませんっ」
「ややこしいやつだな。つーか、お前、クサイ」
……へ?
「酒くせぇ」
「あ、えっと、私、昨日飲み会で……」
そそそういう意味か。ビックリした。
「阿呆。知ってるわ」
やっと離れてくれた男の顔を、まじまじと見つめる。
「え……」
この人、わたし、知ってる。
「あ、秋瀬さん……!!」