毒舌王子に囚われました
「やっと見えたのかよ」
見えましたとも。
超絶イケメンとおモテになる、秋瀬 一縷(あきせ いちる)さんじゃないですか……!
「ほんとの、ほんとに、秋瀬さんですか?」
そんなに歳が違わないのに、営業部のエース的存在の。
「お前、まだ酔ってんの?」
呆れたようにそういうと壁によりかかり、腕を組んでこちらを見下ろす。
いいや、酔ってはいないです。
なんだか頭が痛いし、若干ムカムカすることはするが、シラフです。
「記憶をなくすくらい……わたし、酔っていたんですか?」
「……お前、なんにも覚えてねーの?」
「へ?」
「あんなことがあったのに」
「あ、あんなこと……?」
「……シネ」
えぇぇええ!?
そう吐き捨てると部屋から出て行ってしまった。
「ま、待って下さい……秋瀬さん!?」
起き上がって夢中で秋瀬さんを追いながら、ふと、身体に違和感を抱く。
……あれ?
わたし、今着てるこの服……
わたしが身にまとっているものを確認する。
上下黒のスウェットのようだ。
裾が、長い……。男物だろう。
うっかり踏みつけて転びそうになる。
で。この服にわたしは、いつ着替えたの……?