青野君の犬になりたい
結局、私はカンナさんの家にひとりでお邪魔した。
ドアを開けた途端にチャー君とブチが走ってきた。
2頭とも尻尾をぶんぶん振って歓迎してくれる。
立派な家だろうと想像はしていたけれど、本当に豪勢な家だった。
大理石の広い玄関からフラットに床が続く。
犬たちの爪が滑らないということは、フローリングにもきちんとすべり止め加工がされているのだろう。
通されたリビングルームは50㎡くらいはありそうだ。
サッシの向こうにはサンデッキから広い庭が広がり、犬たちの遊具も設置されている。
犬専用のドアから彼らは自由に庭と家を行き来できるようになっている。
豪華な造りをきょろきょろ見渡し「すごーい」と感激していると、「そこらへん座ってて」と布張りの大きなソファを指してカンナさんはカウンターキッチンに入っていった。
そこでふと疑問が湧いた。
こんな豪勢な家なのだから当然家族で暮らしているのだろう。
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