【短編】バレンタインのお返しに。
「……バレンタインのお返し」
「え?」
「バレンタインのお返しに、……俺をもらって」
先輩は、照れることもなくそう言って、わたしをじっと見つめた。
その意味を理解する前に、先輩の顔が近づいてきて、わたしたちの距離はゼロになった。
「昨日から避けられてて、すげぇ辛かったんだけど? 好きな子に避けられるって、悲しい」
「ご、ごめんなさい……。先輩のこと好きだって気づいたのに、越川先輩と付き合うんだって思ってて……」
「俺はお前だけだよ───」
もう一度、今度は長いキスをされて、わたしが息ができなくて、ジタバタと暴れると、先輩はくすりと笑った。
「千が好きだよ。付き合ってほしい」
「うう……っ、先輩……っ」
「ははっ、それはオッケーってこと?」
「そ、そうです…っ」